パプリカ
「パプリカ」筒井康隆
あらすじ
精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもう一つの秘密の顔があった――。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型治療テクノロジー「DCミニ」を巡る争奪戦が、刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する!
<勝手にこんな人にオススメ>
○夢に関わる物語に興味がある人
○情報量の多い小説が好きな人
○わけわからないけど良かった!という印象を味わいたい人
久々の感想です。
来ました。やばい方のパプリカ。笑
コロナ自粛期間にとうとう映画のパプリカを見たのがきっかけで小説も読んでみました。
映画はやばいやばいという噂を聞いていたので、どういったものか楽しみだったのですが、まぁやばかったです。笑
でも、思っていたよりもストーリーはあって、一度寝ぼけ眼で見て「???」となり、考察サイトを見てもう一度見たら、ほーうと納得しました。
ちなみに映画のパプリカ、僕はかなり好きです。
夢の支離滅裂さを映像表現するという点においては今までみた夢に関わる作品では断トツです。
まだ、未視聴の方には、主題歌である平沢進さんの「パレード」にパプリカの映像を付けたMV?を見て頂くのが世界観を知るのに手っ取り早いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Mr86_f-kLSQ
Youtubeのコメントを書く人たちも秀逸で、
「千と千尋の神隠しの、最後にちひろが振り向いてしまった後の世界」
「太宰治に光の速さで米津玄師をぶつけたら出来そうな曲」
「お祭りの中、自分だけ親とはぐれて迷子になってしまったような不安感」
「植物に聴かせて育てたらひとりでにうねうね歩きそうな曲」
「にほんごであそぼLv99」
というのものがあったりします。全てに同意します。
怖いもの見たさ?でも良いのでもし良かったら見て欲しいなと思います。
ちなみに千と千尋もパプリカも作画監督が安藤雅司さん(君の名はでも作画担当で一躍話題になってましたね)なので、世界観が似ているのは、その通りなんです。
さて、内容についてなのですが、ネタバレしないように説明しますが、映画と小説で大分違います。
『千葉敦子(夢の世界ではパプリカ)が、DCミニという装置を使って、精神疾患の患者の夢の中に入り治療をする』という設定と敵対人物と動機は一緒ですが、ストーリーの進行はほぼ違うと言って良いと思います。
ただ、どっちが良いとかじゃなくて、どっちも違ってどっちも良いってなっているのがこの作品の本当にすごいところだと思っています。
小説は450ページを超える長編です。いやぁ読んでいて情報量がすごい。
地の文に書かれる内容が、
①登場人物からの目線 ②風景描写
であり、更にこれにプラスして突然夢の描写が入ってくるので、今何が起きているのか流し読みだとさっぱり追えなくなります。
このわけわからない感じ(それでいてしっかり読むと何が起きているか分かる)が、この本の醍醐味です!
今まで読んだどの本とも種類が違っていましたね。
もしこの本が英訳されて入試の問題で取り扱われでもしたら、受験者を絶望の渦に飲み込むこと間違いなしです。笑
非常に興味深く、面白い小説でした。
立ち向かいたい人は是非是非に!笑