想い出のおもちゃ箱

本を読んだ感想や、ふと思ったことを書いてくブログです。自分の想いの整理や置いとく場所として使いますが、皆にも手を取って見てもらえたらすごく嬉しいです。感想もオススメも是非是非お待ちしてます。

やさしい関係

「やさしい関係」藤堂志津子
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<https://www.amazon.co.jp/dp/B00E60AHAI/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1>

 

“食品会社広報室のOL佐代子は、十年前からの男友達加賀美と一年ぶりに再会した。しかし仲間を交えて定期的に会ううち、佐代子の心に違う感情が芽生えはじめた…。

 好意という一瞬のときめきが欲しいのか、それとも友情という永遠の休息を求めるのか?

 自らの気持ちと真剣に向き合い、ためらいつつもあゆんでいく一人の女性。男女の友情という永遠のテーマに挑んだ、心あたたまる物語。”

  

〇異性を好きになりかけてどうしよう…となっている人

〇友達関係からの恋の発展に悩む人

〇恋愛の様々な距離感・価値観を読みたい人

 

 

 

まず初めに一言。この本は1996年4月に出版されたものです。

つまりぼちぼち23年ほど経つことになりますね。ただ、この本の恐るべきはそんな歳月をものともしない男女の友情というテーマを普遍的に描いているということです。

強いて時代を感じるなら、やりとりが電話くらいしかない(それも頻繁に公衆電話使いがち)ということですけど、やっぱそれもロマンを感じますよね。

  

もともと、この本を手に取ったきっかけとしては、ブックオフに行ったときに手ごろな値段で売られていたからでした。あらすじも大して見ずに、タイトルの「やさしい関係」に惹かれて、どういった題材を扱ってどのような表現をしたら「やさしい」になったのだろうと気になってしまいました。

 

 

読み終わった感想としては…

ほんとうに今読んで良かったな、という気持ちでいっぱいです。

この本を読むべき人は結構世の中に多いのではないかと思います。

 

主要な登場人物はほぼ4人なのでその関係にひたすら注目できるし、せざるを得ない。

男2女2の関係は、どうしても当事者たちにとって一番形のいいところに落ち着くから、一般的な「普通」ってのは存在しないのではないかと思いました。特に彼ら・彼女らは30中頃の年齢というのもありますしね。

 

 

魅力的な登場人物は下記の通り。舞台はちなみに札幌です。

 

・佐代子(主人公、34歳独身OL、4年間恋人なし)

・修子(佐代子の親友、デザイナー)

・加賀美(離婚し東京から戻り札幌で再就職、思慮深く落ち着きのある性格)

・望月(気が利くお調子者)

 

(4人とも、偶然同じバーで知り合った10年来の友人で、定期的に4人で「友人」として飲み会をしている関係です)

 

 

物語は、佐代子が飲み会に行くのを悩むとことから始まります。

というのも、昨月、加賀美が離婚後初めて札幌に帰り一年ぶりに4人で飲んでからというもの、加賀美に対して異性としての意識を持ってしまったからです。

この感情をもってして、佐代子は、かなり悩みます。

 

10年も友人として一緒にいてなぜ今更…?

自分が4年間も彼氏がいなかったから懐かしの友情を錯覚している…?

会うのが怖い…。

怖いけど会って、自分がどう思うか試しても見たい…。

 

このような自分ではどうしようもない感情に囚われ迷いながらも行動をしていく佐代子の姿は人っぽくて好感がもてます。

 

およそ20年前に書かれたとは信じられないくらい今を生きる人に寄り添っている作品だと思います。

もし自分で自分を理解できないレベルの感情に出会ってしまったならこの本を是非読んでいただきたいです。きっと共感の嵐で呆けてしまうこと間違いなしです笑

 

それでは最後にこの本で一番だったフレーズを紹介して締めたいと思います。

 

「もうしばらく友達ごっこをしているか」

「うん。それがいいな」

P292