あの日、恋に落ちなかった君と結婚を
「あの日、恋に落ちなかった君と結婚を」三田千恵
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あらすじ
”結婚を考えていた恋人に振られ、将来に不安を抱く持田麻衣。同郷の円から結婚のために地元へ帰ることを知らされた麻衣は、悩んだ挙句、自分も一緒に東京を離れることに決めた。田舎道を歩き実家に向かっていた麻衣は、高校の時のクラスメイト今井優人に偶然再会、昔話に花を咲かせる。その中でかつて交わした約束を切り出された麻衣は、恋愛はこりごりと突っぱねるものの、自分と同様に失恋した今井の話を聞き「恋のない結婚」を現実的に考えはじめ……?”
あらすじを読んで、「これは他人事ではないかもしれない」という焦った気持ちもあっていつの間にか手にあり、購入。
高校の時の異性の親友と、「私たち、歳も歳だし結婚する?」となる話です。
これは…どうなのでしょう。
世間の考え方はさておき僕はこういった考え方に賛成です。
僕は「付き合うことと結婚は、結婚のほうが楽だ」という持論を持っています(所詮齢23の考えですが・・・)
付き合うということは、前提としてお互いが「恋愛的に好き」であることが、上手く行くポイントになると思います。故に、互いの好きの重さが変わると続けていくのが難しくなる。
きっと、長く続く人というのは、片方の好きの重さが増加したときに程よく距離を調整できる人なのだと思います。
付き合うことの延長に結婚がある人なら、この距離感の調整を前向きに(とは言わずとも自身の中で割り切って)できるのでしょう。
でも、ただ、付き合ってその先に結婚を考えていなければ、上手く行かなくなった時に、「じゃあいいか」となって別れてしまうんですよね。
付き合うことのメリットはきっと、自身への肯定感が高まることとか、共にいる時間が愛おしいとかだから。
逆にそのメリットを自身が求めていなければ、無理をしてまで付き合い続けることは、デメリットが多いですからね。
とか、冷静に考えてしまっている時点で、きっともう色々おしまいな気がします。
閑話休題。
本の話に戻ります。
主人公の麻衣の魅力は人間っぽさにあるなと思います。
ちょっとずるいことしちゃっているなって思ってもヒトを頼ってしまうところ、
夫になる今井に対し、言いたいことが言いづらいところ
他人のことを想って行動できるところ
少しひねくれているようでいて素直な人柄が万人受けするというか、もし実在したら友達になりたいなと思う。
同じく、今井も人間的に素敵。
好きなことを好きと言えるところ
すこしだけカッコつけてしまうところ
自分のなかの優先順位がしっかりしているところ
二人とも、すっごく良い人なのだけど、良い人すぎないところが良い。
良い人すぎると逆に申し訳なくなって距離感を感じてしまうけど、程よいところでふたりともわがままだから、そこが個人的には好きで、自分自身の勉強になりました。笑
この本を通して、更に考えさせられたのは結婚するということは、
相手の家族と家族になるということ。
麻衣の言葉で
「(中略)・・・何より、家族の家族は、家族じゃん。おじさんは、私の家族になるんだよ。どうしてその人の一大事を放っておいて、ライブになんて行けるのよ。」
というセリフがあって、当たり前なことなのかもしれないけどすっごく素敵だなと思いました。
また、少し話がそれるのですが、昨冬のドラマ「僕らは奇跡ででできている」で高橋一生の
『誰でもできることはできてもすごくないんですか?』
という台詞があって。
『普通・当たり前』って時代によっても、人によっても変わるからこそ、できるっていうのが『普通・当たり前』になってほしくないなぁって思いました。
本の感想が少なくなってしまいましたが、
麻衣と今井の今の話と、高校生の時の話しが、読者に柔らかく届いて、あぁ、幸せになってほしいなと思える空気感がある作品でした。
恋愛結婚はすごいなぁと思う一方で大変そうだし、こんな結婚も憧れる、そう考えさせられる本でした。