想い出のおもちゃ箱

本を読んだ感想や、ふと思ったことを書いてくブログです。自分の想いの整理や置いとく場所として使いますが、皆にも手を取って見てもらえたらすごく嬉しいです。感想もオススメも是非是非お待ちしてます。

さよならの言い方なんて知らない。

「さよならの言い方なんて知らない。」河野裕

[河野裕]のさよならの言い方なんて知らない。(新潮文庫)

 (2019年9月1日新潮文庫)

<https://www.amazon.co.jp/dp/B07WBY4PM1/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1>

 

あらすじ

物語は始まる。八月の青い、青い、空の下で。

あなたは架見崎の住人になる権利を得ました――。高校二年生の香屋歩の元に届いた奇妙な手紙。そこには初めて聞く街の名前が書かれていた。内容を訝しむ香屋だが、封筒には二年前に親友が残したものと同じマークが。トーマが生きている?手がかりを求め、指定されたマンションを訪れると……。戦争。領土。能力者。死と涙と隣り合わせの青春を描く「架見崎」シリーズ、開幕。

 

こんな人におすすめ

・戦略ゲームが好きな人

・頼りないけど頭が切れる主人公が好きな人

・世界の謎を調べる話が好きな人

 

 

絶対、これはアニメ化しますね。最高にアニメ映えする作品だと思います。それこそワクワク度的にはSAOとかにも匹敵するような(少しそれよりも難解になりそうですが)。

 

そんなわけでとうとう読み始めました河野裕さんの新シリーズですが、厳密にいうと、「ウォーター&ビスケットのテーマ」という自身の小説の大幅加筆修正をしたものらしいです。

 

ちなみにこのウォーターとビスケットというのは誰かというと、物語の主人公である幼馴染3人、香屋、秋穂、トーマの好きなアニメに出てくるキャラクターという設定です。

 

「ウォーター&ビスケットの冒険」は子ども向けの時間に放映されたのに人気が出なかったアニメらしいです。

設定としては、元保安官の主人公ウォーターと、相棒の少女ビスケットが砂漠の惑星を旅するというものです。ちょっとキノの旅っぽいですね。笑

子ども受けが良くなった理由として、幸福を迎える話が半分くらいしかないことがあるそうです。作中に現れる国の情勢は余りにも残酷だし、手に負えない社会の不条理に巻き込まれれば逃げるし、難しい言葉もしゃべる。おおよそ子ども向けではないですね。

ただ、ヒットしなかった一方で、主人公たちのような一部の熱狂的信者が生まれた伝説のアニメ、だそうです。

 

もうこの設定、アツくないですか?

これだけで、僕はこのアニメを見てみたい気持ちになりました笑

加えて、ウォーターの作中のセリフをよく香屋が引用するんですがそれも格好いいんですよ!!

 

―――生きろ

とウォーターは繰り返し告げる。

(中略)

―――なんのために?

と誰かが尋ねる。

(中略)

―――そんなこともわからないまま、死ぬんじゃない。

P32 

 

 

「友情には価値がある。ライバルとの友情ならなおさらだ」

p39 

 

 

か、かっこいい・・・

 

といった風に作品の中に出てくる作品が格好いいって、なんかとても良いですよね。僕はそういう世界観のものがすごい好きなんだなと気が付きました。図書館戦争に出てくる植物図鑑のように、いつかウォーター&ビスケットの冒険も是非文庫化or映像化していただきたいですね。

 

 

横道にそれましたが、この話の本筋は、架見崎という異世界の街で起こる戦いについてです。

 

架見崎がどんな街なのかは謎です。分かっている情報としては一辺が5㎞の正方形のような形状で1000人近くが暮らしていること、各チームによる領土の争奪戦が繰り広げられていること、この世界で死ぬと現実世界に戻る(らしい)こと、8月の1ヵ月間を延々とループしており、人の生死や領土以外はループ時にリセットされること、人を殺すとポイントが加算されそのポイントをもってして武器や能力の増強が可能になること、くらいです。

 

このような街で香屋が目指すのは戦いに勝利することよりも、死なないことです。

臆病者である香屋は起こりうる事態をすべて想定し、その各々に応じた戦術を練ることで領土間の戦いを収めようとします。そして架見崎の真相を理解しようと行動をします。

 

こういった戦術ゲームの話は僕の好みに合うため、読んでいてなんとワクワクすることか!香屋も格好いいし、なによりキャラクターの一人一人が魅力的なんです!

 

謎が多い作品なので最終的にどのように落ち着くのか今は検討もつきませんが、階段島シリーズのミステリーを描いてきた河野裕さんの落としどころが非常に気になります。

 

是非是非多くの人に読んでもらいたい作品です!そしてウォーター&ビスケットの冒険の世界観についても語り合いましょう!笑