どこよりも遠い場所にいる君へ
「どこよりも遠い場所にいる君へ」阿部暁子
(2017年10月25日集英社オレンジ文庫)
あらすじ
ある秘密を抱えた月ヶ瀬和希は、知り合いのいない環境を求め離島の采岐島高校に進学した。采岐島には「神隠しの入り江」と呼ばれる場所があり、夏の初め、和希は神隠しの入り江で少女が倒れているのを発見する。病院で意識をとり戻した少女の名は七緒、16歳。そして、身元不明。入り江で七緒がつぶやいた「1974年」という言葉は?感動のボーイ・ミーツ・ガール!
こんな人におすすめ
・ひと夏の少年少女の出会いが好きな人
・タイムスリップ×感動が好きな人
・島の話が好きな人
タイトルと表紙の美しさに惹かれて購入。
わけありで島の高校に引っ越して来た男の子が、ひょんなことから身元不明の女の子と出会い惹かれ合う物語。
こういうThe青春みたいな話好きなんです。。。正直、最初は薄っぺらい話かなと思ってたのですが、そんなことありませんでした!後半になればなるほど主人公やその周囲の人の内面に触れ、過去を知り、心の機微が分かる。
最初は、ただの一傍観者として覗いていたはずなのにいつの間にか感情移入していて、頑張れとガッツポーズを送りたくなってしまうような感覚がありました。まんまと引き込まれちゃいました。笑
あと個人的に、七緒が魅力的で好きです。最初は身元不明の女の子として現れて、警戒心を露わにしています。ただ主人公の和希に対してだんだんと心を開き自然に接してくれるようになると、それはもう可愛いのです。なんというのでしょう、無邪気でストレート、そして人思い、そんな言葉がピッタリの純朴なかわいらしさがあります。七緒の行動一つ一つは勇気がいるもののはずなのに、それでも貫き通そうとする彼女の意思に感嘆します。
タイムスリップで感動ものというとある程度のオチは決まってくるものです。なので、読み進めていく中であぁこれはもしかしたらこういうことなのかもしれないなと思うことがありました。ただ、予想を超えて素敵な話に方向が展開していくのでこれまたすごいです。七緒…あなたって子は…という気持ちになります(大ファン)。
読後、少しだけ切なく、けど笑顔で晴れやかに前を向ける作品となっています。
久々にボーイ・ミーツ・ガールの感動を味わいたい方にはおすすめの作品です。